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或いはヨメさんとの不毛な戦いの記録
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久しぶりに本のレビューでも。
〇学生の頃から読んでいる、夢枕獏の『幻獣少年キマイラ』シリーズ。
朝日ソノラマが解散してしまった時にはどうなるかと思ったが、その後朝日新聞社から引き続き出版されることになって一安心。

ん?朝日ソノラマの最期の頃にはハードカバーで出版される運びとなって、著者も「今後はハードカバーの方で物語が先行するよ」みたいなこといってなかったっけ?

いずれにせよ、仕切り直しの形でソフトカバーで再販されたことになり、今回は8年ぶりで真の意味での新刊となる。

ここしばらく、物語当初より敵役だった謎の人物、久鬼玄造の過去話であったが、本巻もその続きが語られ、一応の決着をみる。
ここで過去話は一旦終わり、物語は現代に転じる。
九鬼玄造が“雪蓮一族”に出会うくだりはサラっと流されているため、いずれ別に語られる機会が設けられることは必至だろう。

転じた先は長野県南アルプス。キマイラと化した九鬼麗一が牧場の牛を襲っているという噂を聞いて、(キャトルミューティレーション?!)九鬼玄造、宇奈月典膳、菊地良二、九十九三蔵らが救助(?)に向かう。
しかし、そこでは既に喧嘩に負けて流れ流されて原点回帰を試みる伯爵病の黒づくめ、竜王院弘と、私脱いだらスゴイのよの(違う意味で)の狂仏が九鬼キマイラと遭遇を果たしているのだった。

…ちょっと違うかもしれない。

少し気になったのが、巻頭の登場人物紹介のところで、竜王院弘が“恐怖心で顔が異様に老けてしまう伯爵病の持ち主だった”と記述してあるのだが、そもそも「伯爵病」って年取っても顔が老けない病気だけど、恐怖心なんかで大きく感情が乱れると年相応の顔に戻ってしまうんじゃなかったっけ?

いずれにせよ、やっと物語は現代に戻り、同時に新刊にこぎつけた感じ?







ついでに紹介したい、コチラはコミック版闇狩り師キマイラ天龍変。

九十九乱蔵はキマイラ本編に登場している九十九三蔵の兄で、職業は“闇狩り師”。
“闇狩り師シリーズ”はいわゆる伝奇物の走りとなった作品で、陰陽師、マントラ、密教、犬神、呪法、外法など、今では日常生活で当たり前に使われるようになった(なってねェよ)単語を普及させた功績があるであろう作品。
キマイラ本編にはチラチラと名前だけが登場していたが、今回はキマイラ本編を遡る事十数年前に台湾に渡った九十九乱蔵が、巫炎と戦い、これを封じ込めるまでのいきさつを描いている、いわゆるクロスオーバーもの。
夢枕獏をして“台湾編で一本の物語を描くという発想はなかった”逸話を見事上下巻にまでしてしまったのはやはりコミックのなせる技か。

表紙を見たときは正直、ちょっと暑苦しそうでイヤだったが、中身は全然原作好きの許容範囲。つか、十分面白い。コミックならではのはっちゃけた部分もあるが、これはこれで良いのではないかと。
九十九乱蔵が重厚感に欠け、落ち着きがない気もするが、若気の至りということで。闇狩り師は何度かコミック化されているが、今まで見た中では一番のお気に入り。

 

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