21.07.02 FOUR HORSEMEN STUDIOS MYTHIC LEGIONS : ARETHYR WEB / BELPHEGORR

暫く小さなフィギュアの紹介が続いたので、今回は少し大物でも。
本日は、米フォーホースメンスタジオス社、マイシック・レギオンズから、ベルフェゴールをご紹介。

恐らく元ネタになったであろうと思われるベルフェゴールとは、キリスト教における七つの大罪を象徴する悪魔の一人で「怠惰」と「好色」を司る。
元は古代モアブで崇められた神、バアル・ペオルであったがキリスト教の伝来と共に悪魔として貶められた。
「バアル」は主神を、「ペオル」は裂け目を意味し、この神に捧げるためにバアル山の裂け目に供物を投げ入れていたのではないか、という解釈もある。



コラン・ド・プランシーの著す有名な『地獄の辞典』に収録されたルイ・ル・ブルトンの挿絵では、ねじれた角、顎髭を蓄え、尻から牛の尾の生えた醜悪な姿をしており、トイレに座った姿で描かれている。トイレが描かれた理由はユダヤ教のラビ（聖職者）が、この悪魔には糞便こそがふさわしい供物だと説いたからだとか。ちなみにトイレの横に描かれているのは巷で言われているような車輪ではなく“便器の蓋”らしい。



中世ヨーロッパの伝説によれば、ある時、魔界で「幸福な結婚というものは存在するのか?」という議論が起こり（魔界、ヒマなの？）、実際にそれを確かめるためにベルフェゴールが人間界へとやってきたが、様々な人間の結婚生活を観察した結果、「幸福な結婚など夢物語であって実際には存在しない」と言う結論に達したとされる。 何を今更。



また、この伝説を題材にしたニッコロ・マキャヴェッリの散文小説では、人間に化けたベルフェゴールはイタリアでオネスタという絶世の美女と結婚し、彼女を深く愛したが、オネスタは魔王サタンをも凌ぐであろう傲慢さでもって、この悪魔を苦しめ苛み続け、最終的にベルフェゴールは人間の世界における結婚という制度を非難しながら地獄へ逃げ帰ってしまった。わかる、わかるぞ、その気持ち。



マイシック・レギオンの世界では、異世界に追放された魔王アレサーの配下に加わり、ポータルの裂け目を利用して彼がミソスの世界に帰還するための手助けをした、という設定になっているのだが、正直、いかにコワモテの悪魔だろうが、結婚生活に失敗して地獄に逃げ帰ったという説話の前にはすべてが霞んで見えてしまうのは気のせいか。



さてさて、肝心のフィギュアに関しては非常に良くできている。
プロポーション及び造形は秀逸のひと言。
赤い肌、捻じれた角の生えた髑髏めいた頭部、エッジの利いた鎧、筋肉質な身体、蹄のある脚と、いかにもザ・悪魔といった感じ。
どこがどうとはうまく言えないがフォーホースメンらしいクセのあるデザイン。（もちろん褒めてます）
なんかちょっと既視感あるなーと思ったら、ア〇ミヤさんとか、ニラ〇ワさんとか、なんとなくそのあたりのそれっぽいテイストがそこはかとなく感じられなくもない。



カラーリング及びペイントも良好。
色数は少ないが、赤い皮膚に鈍色の鎧が渋くてとても良い感じ。



可動に関しても、首（ボールジョイント）、両肩（ヒンジ）、両肘（ヒンジ）、両前腕、両手首（ヒンジ）、腰（ボールジョイント）、両股関節（ヒンジ）、両膝（ヒンジ）、両足首（ヒンジ＋ロール）とかなり豊富。



肩当ては一見ゴツくて嵩張る感じだが軟素材で、しかも後述のように背面一か所で固定されているだけなので、思いのほか肩関節も動かしやすい。



アクセサリーとして湾刀と、握り手用の手首（左右）、帯剣用ベルト、挿し込み式のカスタマイズ用パーツが３種類付属。



肩当ては着脱可能。
思いのほか撫で肩だったり。
ちなみに首を抜くことで首回りの鎧も外すことができる。



背中にはダボ穴が三ヶ所あり、肩当てを固定したり、カスタマイズ用パーツを差し込むために使用する。



湾刀は二本。本来は柄尻の部分がオスとメスになっていて接合できるはずなのだが、管理人が購入したものはなぜか両方ともメスだった。



繋げなくても十分カッコイイのでそれはそれで構わないのだが、アメトイのこうしたエラー率の高さというか、管理人自体がエラー品を引く確率はちょっと異常。



７インチスケールなので、当然のことながら４インチと並べて飾るとそれなりに大きい。
やはり魔界のデーモンなのだから、これくらいの大きさの方が迫力があってちょうど良いのではないかと思う。