或いはヨメさんとの不毛な戦いの記録
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先日、映画『ソロモン・ケーン』のDVDを視聴してから、この機会に是非ともロバート・E・ハワードによる原作小説の方も読んでみたくなり、八方手を尽くして入手した次第。
調べてみたところ、現在までに翻訳されているのは、どうやら3作の短編小説のみらしい。
手に入れた短編を一読した限りでは、やはりそこはハワードの作品、コナンをはじめとするハワードのものしたその他の小説の主人公同様、生い立ちについてはあまり深い設定がないようだ。
ハワードも知人宛ての書簡の中で、自らの作中の人物については、自動筆記がごとく思いつくままに書き散らしている旨を述べているので(超意訳)、ソロモン・ケーンもそのご多分に洩れず、タイプライターのキーの赴くままにインスピレーションが生んだヒーローのひとりなのだろう。
結局のところ、素性の曖昧さが却って神秘的な雰囲気を醸しているのだから結果オーライといったところか。
ソロモン・ケーンの容姿の形容に関しては、背が高く、肩幅広く、痩せてはいるが強靭な肉体を持ち、顔は死人のように青白く、鼻筋は細く高く通り、額が広く、目つきが鋭い。
服装は鍔広のソフト帽を目深にかぶり、黒い清教徒の服に身を包んでいる。
武器はレイピア、短剣、フリントロック式短銃、また時にマスケット銃を用いる。
十五~六世紀頃の銃だから、弾込め式の単発銃だろうか。
そして、魂の兄弟、ブゥードゥーの魔術師ネロンガ(ン・ロンガ)から贈られた、先端に猫の彫刻のある魔法の杖を持っている。
この杖は、通常の武器では傷つけることのできない、“この世ならざる魔物”に対して直接的な効果を及ぼすことができる。また、後のエピソードでは72柱の悪魔を封じ込めたとされる伝説のソロモン王の杖であることが明らかになっている。(ソロモン王とソロモン・ケーンの関係については名前が同じという以外は詳らかではないが。)
小説の設定によるとソロモン・ケーンはイングランドの裕福で厳格な清教徒の家庭に生まれ、十代の頃から商船に乗り込んで世界中を旅して回っていた。
正義感が強く、弱者には優しいが、“悪”に対しては人並み以上に強い憤りを感じる性格であり、悪人に対しては全く容赦しない冷酷な一面を併せ持つ。
また、同じくイングランドの海軍提督であったフランシス・ドレイクをして“剣の達人”と言わしめた程のスゴ腕の戦士でもある(本人談)。
なお、今回入手した翻訳小説の概要は以下のとおり。
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血まみれの影(Red Shadows :Weird Tales, Aug 1928)
『ミステリマガジン』2006年8月号 掲載 尾之上浩司:訳
盗賊団の首領、ウルフこと、ルゥー・ルゥーを追って単身アフリカ大陸に向かったソロモンは、敵の罠に堕ちて囚われの身となってしまう。
互いの利害関係により、ブゥードゥーの魔術師ネロンガと魂の兄弟となったソロモンは、魔術の助けにより窮地を脱し、遂にルー・ルーを追い詰めたかに見えたが…。
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死霊の丘(The Hills of the Dead :Weird Tales, Aug 1930)
『ホラー&ファンタシイ傑作選(2)』 青心社:刊 大瀧啓裕:訳
彼を呼ぶアフリカの声に誘われ、再度呪われた暗黒大陸の土を踏むソロモン。
彼の地で再びまみえたブゥードゥーの魔術師ネロンガは、ソロモンに太古の昔から存在したとされる魔法の杖を与えた。
ライオンに襲われた原住民の娘から吸血鬼の棲む呪われた丘の存在を知らされたソロモンは、ネロンガの助言を得るために、杖の持つ不可思議な力を使うことにする。
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はばたく悪鬼(Wings in the Night :Weird Tales, Jul 1932)
『ウィアード・テールズ(3)』 国書刊行会:刊 今村哲也:訳
アフリカ大陸を旅するソロモンは、人食い人種の追手から逃れる途中で、朽ち果てた村の痕跡と、惨殺された村人の死体を発見する。
翼を持つ奇怪な生物の襲撃を受け、九死に一生を得た彼は、生き残りの原住民から助けを求められる。
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原作ではこの他に小説が数編と、いくつかの断章や草稿、ソロモン・ケーンを題材にした詩等があるらしい。
もし映画が日本で公開されていれば、それらが東京創元社あたりから出版されていたかも…と思うと非常に残念な気もする。
ソロモン・ケーンについては、もっとよく知りたいので、次はamazonでダークホース・コミック版でも取り寄せてみようかと思案してたりする。
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